小野です。
米国株で素材セクターについてです。
これから米国株を始めたり、すでに米国株投資をしている人の中にも、素材セクターについてある程度知りたいって人もいると思います。
また、特徴やリターンも知りたいところだと思います。
そこで本記事では、米国株の素材セクターについて書きました。
素材セクターをがっつりマスターしたい人は、参考にしてください。
米国株・素材セクターについて
では早速ですが、
米国株の素材セクターについて、以下の内容で書いていきます。
素材セクター
- 特徴
- 概要・ETF
- トップ20銘柄
- 素材セクター vs S&P500
- 素材セクタートップ5 vs S&P500
- 騰落率
これらの情報を知っておくことで、素材セクターの基本的な内容については把握できると思います。
結論からすると、素材セクターは非常に優秀な銘柄は多いですが、直近ではS&P500を下回るパフォーマンスとなっています。
上位個別銘柄のポートフォリオであれば、S&P500を上回るリターンとなっています。
1. 特徴
まず最初に、
基本的な素材セクターの特徴としては、以下になります。
素材セクターの特徴
- 好況に強いセクター
- 下落耐性は中程度
- ほとんどが聞いたことない企業
- ボラティリティが高い
- 配当利回りは少し高め
- セクター全体では直近でS&P500を下回る
上記の特徴があります。
1-1. そもそも素材セクターとは
そもそも素材セクターとは何かについて、最初に書いておきます。
素材セクターでは、主に特殊化学品、工業用ガス、包装紙、基礎科学品、肥料、鋼鉄、塗料などを取り扱っています。
要するに、原資や化学品などです。
なので、基本的には一般消費者向けの製品は少ないので、馴染みのない銘柄が多いです。
2. 概要・ETF
素材セクターは、米国株全11セクターのうちの1つです。
英語表記は以下になります。
- Materials
- Basic Materials
基本的にどこのサイトでも、上記の2パターンのどちらかで書かれています。
2-1. 銘柄数
所属 | 銘柄数 |
素材セクター | 235 |
S&P500 | 21 |
ダウ30 | 1 |
素材セクターETF(VAW) | 116 |
素材セクターETF(MXI) | 104 |
現在、米国に上場している素材セクター全銘柄数は235銘柄です。
そのうち、S&P500に含まれるのは21銘柄です。
ダウ30に選ばれている素材サービスセクターの銘柄は1銘柄で、以下になります。
- DOW|Dow Inc.
ちなみに、この会社はダウという名前です。
ダウ30と書き間違えたわけではありません。
2-2. 素材セクターETF
主な素材セクターのETFとしては、以下があります。
- バンガード:VAW
- ブラックロック:MXI
基本的に素材セクターETFを検討する場合は、このどちらかで検討すればオッケーです。
2つのETFの概要は以下になります。
バンガード | ブラックロック | |
ETF | VAW | MXI |
国籍 | 米国 | グローバル |
米国籍割合 | 100% | 35.60% |
銘柄数 | 116 | 104 |
経費率 | 0.10% | 0.46% |
設定日 | 2004年1月 | 2006年9月 |
直近利回り | 2.61% | 4.62% |
直近10年リターン | 8.37% | -0.12% |
直近5年リターン | 3.39% | -0.17% |
PER | 21.4倍 | 17.47倍 |
純資産総額 | 1.54B | 287M |
基本的に、バンガードのETFは米国籍のみで構成されていて、ブラックロックはグローバルになります。
また、ETF純資産もバンガードが1,540億円、ブラックロックは287億円となりますので、バンガードVAWの方が圧倒的に規模が大きいです。
※1ドル100円
ちなみに、S&P500(VOO)のETF純資産は13兆2,380億円になります。
2-3. 素材セクター内構成比率
素材サービスセクター内でも、
更にインダストリーは以下のように分かれています。
インダストリー | VAW |
特殊化学品 | 30.60% |
工業用ガス | 20.00% |
包装紙 | 8.60% |
基礎化学品 | 7.30% |
金 | 7.10% |
肥料・農薬 | 6.20% |
金属・ガラス容器 | 6.20% |
鉄鋼 | 4.40% |
建設資材 | 3.90% |
総合化学 | 1.90% |
銅 | 1.60% |
アルミ | 0.60% |
紙製品 | 0.60% |
林産品 | 0.50% |
各種金属・鉱業 | 0.30% |
銀 | 0.20% |
100% |
基本的にはこんな感じで、素材、化学、ケミカル、原資などのジャンルです。
2-4. 素材セクターのPER
素材セクターのPERは以下になります。
セクター | 表記 | バンガード | ブラックロック | ||
素材 | Basic Materials | VAW | PER 21.4 | MXI | PER 17.47 |
もちろん、時期によって変わりますが、そもそもETFは分散されていますのである程度一定です。
ちなみに、S&P500の直近30年の平均PERは20倍~25倍なので、比較するとすれば通信サービスセクターのPERは普通~割安だと言えます。
ただ、素材セクターはS&P500に2.5%程度しか含まれていません。
したがって、ジャンルが大幅に違うS&P500とのPERの比較は、参考程度に考えておくといいでしょう。
3. トップ20銘柄
素材セクタートップ20銘柄は以下になります。
Ticker | Company | Market C | Div | 増配 | |
1 | LIN | Linde plc | 109.32B | 1.85% | 1 |
2 | ECL | Ecolab Inc. | 59.36B | 0.94% | 34 |
3 | SHW | The Sherwin-Williams Company | 52.82B | 0.92% | 41 |
4 | APD | Air Products and Chemicals, Inc. | 52.59B | 2.28% | 37 |
5 | NEM | Newmont Corporation | 44.57B | 1.76% | 3 |
6 | DD | DuPont de Nemours, Inc. | 38.58B | 2.28% | 0 |
7 | DOW | Dow Inc. | 30.80B | 6.72% | 0 |
8 | PPG | PPG Industries, Inc. | 24.64B | 1.97% | 47 |
9 | LYB | LyondellBasell Industries N.V. | 22.34B | 6.31% | 8 |
10 | CTVA | Corteva, Inc. | 20.57B | 1.92% | 0 |
11 | VMC | Vulcan Materials Company | 16.03B | 1.13% | 6 |
12 | FCX | Freeport-McMoRan Inc. | 15.33B | 1.90% | 1 |
13 | IFF | International Flavors & Fragrances Inc. | 13.73B | 2.38% | 10 |
14 | MLM | Martin Marietta Materials, Inc. | 13.20B | 1.04% | 3 |
15 | NUE | Nucor Corporation | 13.11B | 3.77% | 46 |
16 | FMC | FMC Corporation | 12.81B | 1.75% | 2 |
17 | CE | Celanese Corporation | 10.42B | 2.86% | 8 |
18 | EMN | Eastman Chemical Company | 9.57B | 3.80% | 8 |
19 | ALB | Albemarle Corporation | 8.38B | 1.97% | 16 |
20 | CF | CF Industries Holdings, Inc. | 6.41B | 4.01% | 0 |
ave | 2.58% |
代表的な銘柄は上記になります。
トップ20銘柄では、連続増配年数がかなり長いか短いかが両極端です。
3-1. 素材セクタートップ
素材セクター1位はリンデグループ(LIN)で時価総額は10兆9,320億円、2位はエコラボ(ECL)で5兆9,360億円です。
ちなみに、同セクター日本トップは信越化学(4063)で時価総額は5兆1,347億円になります。
4. 素材セクター vs S&P500
素材セクター vs S&P500です。
基本的には、セクターETFを使って比較します。
最初に各銘柄に10,000ドル投資をして、配当再投資をして現在まで保有していた場合のトータルリターンを比較します。
ブラックロックMXIが設定された2006年から現在までです。
結果、トータルリターンが最も高かったのは、1位S&P500(+180%)、2位バンガードVAW(+120%)、3位ブラックロックIXP(+39.2%)でした。
4-1. 米国籍だけが強い
これを見て分かるのは、基本的に素材セクターは米国籍だけの方が強いです。
なので、よっぽど外国籍の素材セクターの銘柄に自信がある場合以外、あえてリターンの弱い外国籍も含めた素材セクターでなくてもいいことが分かります。
5. 素材セクタートップ5 vs S&P500
素材セクタートップ5 vs S&P500です。
LINが1992年からなので、1992年から現在までになります。
↓銘柄は以下になります。
Ticker | Name | Allocation | |
1 | LIN | Linde | 20.00% |
2 | ECL | Ecolab Inc. | 20.00% |
3 | SHW | Sherwin-Williams Company | 20.00% |
4 | APD | Air Products and Chemicals, Inc. | 20.00% |
5 | NEM | Newmont Goldcorp Corp | 20.00% |
結果、素材セクタートップ10のポートフォリオ(青)のトータルリターンは、383,972ドル(+3739%)、S&P500は117,280ドル(+1072%)となりました。
このようにして、素材セクタートップ10は大幅に市場平均を上回るリターンとなりました。
素材セクター全体では、S&P500を下回っていましたが、トップ5であればかなり高いリターンを狙えそうです。
6. 騰落率
素材セクターの騰落率です。
結論からすると、通信サービスセクターの下落耐性は全11セクターのうち、中の下くらいです。
例えば、リーマンショックではS&P500が-50.97%下落したのに対し、素材セクターは-58.18%と市場平均より下落しました。
素材セクター(VAW)の騰落率 | |||||||
ワースト10 | 開始 | 終わり | 長さ | 回復 | 回復時間 | 高値更新まで | 騰落率 |
1 | 2008年6月 | 2009年2月 | 9ヶ月 | 2011年4月 | 2年2ヶ月 | 2年11ヶ月 | -58.18% |
2 | 2018年2月 | 2020年3月 | 2年2ヶ月 | -29.03% | |||
3 | 2011年5月 | 2011年9月 | 5ヶ月 | 2013年1月 | 1年4ヶ月 | 1年9ヶ月 | -28.05% |
4 | 2015年3月 | 2016年1月 | 11ヶ月 | 2016年11月 | 10ヶ月 | 1年9ヶ月 | -22.91% |
5 | 2005年3月 | 2005年6月 | 4ヶ月 | 2006年1月 | 7ヶ月 | 11ヶ月 | -11.88% |
6 | 2006年5月 | 2006年7月 | 3ヶ月 | 2006年10月 | 3ヶ月 | 6ヵ月 | -8.62% |
7 | 2007年11月 | 2008年1月 | 3ヶ月 | 2008年5月 | 4ヶ月 | 7ヶ月 | -7.47% |
8 | 2014年9月 | 2015年1月 | 5ヶ月 | 2015年2月 | 1ヶ月 | 6ヵ月 | -6.33% |
9 | 2013年6月 | 2013年6月 | 1ヶ月 | 2013年7月 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | -4.47% |
10 | 2014年1月 | 2014年1月 | 1ヶ月 | 2014年2月 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | -4.34% |
暴落要因 | 開始 | 終わり | 米国素材セクター | S&P500 |
サブプライム危機 | 2007年11月 | 2009年3月 | -58.18% | -50.97% |
下落耐性の最も強い生活必需品セクターの下落が、リーマンショック時では-25%~-29%程度だったことから考えると、素材セクターの下落耐性は中の下程度です。
6-1. 各セクターの騰落率
ちなみに、各セクターのリーマンショック時の下落率は以下になります。
セクター | ETF | 最大騰落率 | 原因 | |
1 | 生活必需品 | VDC | -29.37% | リーマン |
2 | ヘルスケア | VHT | -35.10% | リーマン |
3 | 公益事業 | VPU | -38.13% | リーマン |
4 | 通信サービス | VOX | -48.81% | リーマン |
5 | 情報技術 | VGT | -50.58% | リーマン |
6 | 一般消費財 | VCR | -57.11% | リーマン |
7 | 素材 | VAW | -58.18% | リーマン |
8 | 資本財 | VIS | -58.20% | リーマン |
9 | エネルギー | VDE | -68.17% | コロナ・原油 |
10 | 不動産 | IYR | -69.68% | リーマン |
11 | 金融 | VFH | -74.04% | リーマン |
S&P500はリーマンショック時に-50%の下落で、その後高値更新まで4年10か月かかりました。
また、そのときの金融セクターは-74%の下落で、高値更新まで9年6か月かかっています。
素材セクターは保有するべきか
素材セクターを保有するべきか、悩む人もいると思います。
結論からすると、よっぽど自信のある個別銘柄以外、保有するメリットはなさそう。
というのが私の結論です。
そもそも、まずセクター全体でトータルリターンが低いのに、あえてリターンの低いセクターを保有する意味が無いですよね。
↓例えば以下は、素材、ヘルスケア、情報技術、S&P500のトータルリターンの比較です。
結局こんな感じでトータルリターンは低いので、あえてこのセクターを保有するメリットはないですよね。
だったら、もっと配当もいい、リターンのいい他のセクターの方が魅力的です。
もちろん将来素材セクターが爆発的に伸びる可能性もあります。
ただ、未来は誰にも分からないので過去から判断します。
個別はアリ
しかし先ほど書いたとおり、自信のある個別銘柄であれば保有してもいいと思います。
とりあえず一つ言えるのは、よく分からない知らない銘柄を適当に保有するのはやめた方がいいです。
そういった銘柄を保有していると、途中で心理的に不安になって必ず売りたくなります。
ヘタしたら暴落した後に売る羽目になるので、ひっくり返るくらい損失が出ます。
なので、個別はよく分からないけど、分散のためにどうしても保有したいのであれば、ETFにしておいた方が賢明です。
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