小野です。
米国株でヘルスケアセクターについてです。
これから米国株を始めたり、すでの米国株投資をしている人の中にも、ヘルスケアセクターについてある程度知りたいって人も多いと思います。
また、特徴やリターンなども気になりますよね。
そこで本記事では、米国株でヘルスケアセクターについて書きました。
ヘルスケアセクターをマスターしたい人は、参考にしてください。
米国株・ヘルスケアセクターについて
では早速ですが、
米国株のヘルスケアセクターについて、以下の内容で書いていきます。
ヘルスケアセクター
- 特徴
- 概要・ETF
- トップ20銘柄
- ヘルスケアセクター vs S&P500
- ヘルスケアセクタートップ10 vs S&P500
- 騰落率
これらの情報を知っておくことで、ヘルスケアセクターの基本的な内容については把握できると思います。
結論からすると、ヘルスケアセクターはトータルリターンも素晴らしく、かなり優秀なセクターなのでおすすめです。
積極的にポートフォリオに組み込んでいきたいセクターで、私のポートフォリオも20%はヘルスケアセクターです。
1. 特徴
まず最初に、
基本的なヘルスケアセクターの特徴としては、以下になります。
ヘルスケアセクターの特徴
- チャートが安定している
- ボラティリィが低く、大きく下落しない
- 不況に強いディフェンシブなセクター
- 景気に左右されない業種
- 平均配当利回りは普通
- JNJが最もメジャー
- S&P500を上回る実績
上記の特徴があります。
1-1. 不況に強い・景気に左右されない
ヘルスケアセクターは、不況であっても景気に左右されない、いつの時代でも必ず需要のあるセクターです。
なので、ヘルスケアセクターの企業は常に必要とされるので、株価も下がりにくく、不況にも強いディフェンシブなセクターです。
例えば、不況や不景気であっても、国民は風邪をひいたり体調が悪くなったり、ケガをすれば病院に行きます。
また、ドラッグストアで薬や医薬品を購入したりします。
このように、ヘルスケアセクターは国民にとって、無くては困るセクターなので、非常に安定していて常に需要のある強いセクターだと言えます。
1-2. リターン・下落率
ヘルスケアセクターのリターンはとても大きく、S&P500指数を大きく上回って来ました。
例えば、1990年にヘルスケアセクタートップ5のポートフォリオを保有していた場合は、現在までで+6000%以上のリターンになります。
S&P500は+1288%でしたので、ヘルスケアセクターの足元にも及ばないリターンでした。
また、下落耐性も強くリーマンショックのときも-35%程度の下落でした。
これは生活必需品セクターが最も下落率が低くー29%、その次がヘルスケアセクターでしたので、下落耐性の強さは過去証明されています。
2. 概要・ETF
ヘルスケアセクターは、米国株全11セクターのうちの1つです。
英語表記は以下になります。
- Healthcare
基本的にどこのサイトでも、ヘルスケアセクターの場合は「Healthcare」と書かれています。
それ以外の表記はあまりありません。
2-1. 銘柄数
所属 | 銘柄数 |
米国ヘルスケアセクター | 979 |
S&P500 | 62 |
ダウ30 | 5 |
ヘルスケアセクターETF(VHT) | 384 |
ヘルスケアセクターETF(IXJ) | 105 |
現在、米国に上場している米国籍のヘルスケアセクター全銘柄数は979銘柄です。
そのうち、S&P500に含まれるのは62銘柄です。
ダウ30に選ばれているヘルスケアセクターの銘柄は、5銘柄で以下になります。
- JNJ:Johnson & Johnson
- UNH:UnitedHealth Group Incorporated
- MRK:Merck & Co., Inc.
- PFE:Pfizer Inc.
- WBA:Walgreens Boots Alliance, Inc.
世界のマーケットの中心である、米国ダウ30に選ばれているこれらの銘柄は、世界を代表するヘルスケアセクターの銘柄と言えるでしょう。
私もジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)を保有しています。
2-2. ヘルスケアセクターETF
主なヘルスケアセクターのETFとしては、以下があります。
- バンガード:VHT
- ブラックロック:IXJ
基本的にヘルスケアセクターETFを検討する場合は、このどちらかで検討すればオッケーです。
2つのETFの概要は以下になります。
バンガード | ブラックロック | |
ETF | VHT | IXJ |
国籍 | 米国 | グローバル |
米国籍割合 | 100% | 67.3% |
銘柄数 | 384 | 105 |
経費率 | 0.100% | 0.460% |
設定日 | 2004年1月 | 2001年11月 |
直近配当利回り | 2.07 | 1.39% |
直近10年リターン | 16.10% | 10.94% |
直近5年リターン | 8.73% | 4.49% |
PER | 23.5倍 | 25.21倍 |
純資産総額 | 10.31B | 2.30B |
基本的に、バンガードのヘルスケアセクターETFは米国籍のみで構成されていて、ブラックロックはグローバルになります。
また、ETF純資産もバンガードが1兆310億円、ブラックロックは2,300億円となりますので、バンガードVHTの方が圧倒的に規模が大きいです。
※1ドル100円
2-3. ヘルスケアセクター内構成比率
米国ヘルスケアセクター内(VHT)でも、更にインダストリーは以下のように分かれています。
セクター | VHT |
医薬品 | 29.60% |
ヘルスケア機器 | 22.50% |
バイオテクノロジー | 18.50% |
管理健康医療 | 10.40% |
ライフサイエンス・ツール/サービス | 7.50% |
ヘルスケアサービス | 5.10% |
ヘルスケア用品 | 1.90% |
ヘルスケア・テクノロジー | 1.70% |
ヘルスケア・ディストリビュータ | 1.50% |
ヘルスケア施設 | 1.30% |
100% |
2-4. ヘルスケアセクターのPER
ヘルスケアセクターのPERは以下になります。
セクター | 表記 | バンガード | ブラックロック | ||
ヘルスケア | Healthcare | VHT | 23.5 | IXJ | 25.38 |
もちろん、時期によって変わりますが、そもそもETFは分散されていますのである程度一定です。
ちなみに、S&P500の直近30年の平均PERは20倍~25倍なので、比較するとすればヘルスケアセクターのPERは普通だと言えます。
3. トップ20銘柄
米国ヘルスケアセクタートップ20銘柄は以下になります。
※米国籍のみ
Name | Ticker | 割合 | 利回り | 増配年数 | |
1 | Johnson & Johnson | JNJ | 9.04% | 2.74% | 57 |
2 | UnitedHealth Group Inc. | UNH | 6.34% | 1.60% | 10 |
3 | Pfizer Inc. | PFE | 4.86% | 4.00% | 10 |
4 | Merck & Co. Inc. | MRK | 4.62% | 2.97% | 8 |
5 | Abbott Laboratories | ABT | 3.73% | 1.42% | 47 |
6 | Bristol-Myers Squibb Co. | BMY | 3.26% | 2.67% | 10 |
7 | Amgen Inc. | AMGN | 3.25% | 2.57% | 9 |
8 | Thermo Fisher Scientific Inc. | TMO | 3.07% | 0.25% | 2 |
9 | Eli Lilly & Co. | LLY | 3.06% | 1.98% | 5 |
10 | Medtronic plc | MDT | 3.00% | 2.27% | 42 |
11 | AbbVie Inc. | ABBV | 2.66% | 4.56% | 47 |
12 | Gilead Sciences Inc. | GILD | 2.43% | 3.54% | 4 |
13 | Danaher Corp. | DHR | 2.34% | 0.42% | 2 |
14 | CVS Health Corp. | CVS | 1.83% | 2.93% | 0 |
15 | Cigna Corp. | CI | 1.67% | 0.02% | 0 |
16 | Anthem Inc. | ANTM | 1.63% | 1.32% | 5 |
17 | Becton Dickinson and Co. | BDX | 1.56% | 1.31% | 48 |
18 | Vertex Pharmaceuticals Inc. | VRTX | 1.48% | – | – |
19 | Stryker Corp. | SYK | 1.44% | 1.11% | 9 |
20 | Zoetis Inc. | ZTS | 1.41% | 0.57% | 6 |
3-1. ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が最もメジャー
米国ヘルスケアセクターに所属する企業で、最もメジャーで聞いたことのある企業はジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)です。
日本でも当然有名で、ジョンソンの日用品などを使っている人も多いです。
時価総額もヘルスケアセクターではトップなので、基本的には世界一のヘルスケア企業と言えるでしょう。
3-2. ヘルスケアセクタートップの時価総額
↓ヘルスケアセクタートップの時価総額は以下になります。
- JNJ:384.4B(38兆4,400億円)
- UNH:293.4B(29兆3,400億円)
- MRK:208.3B(20兆8,300億円)
- PFE:201.2B(20兆1,200億円)
- ABBV:168.0B(16兆8,000億円)
ちなみに、日本で東証1部医薬品トップの中外製薬の時価総額は、8兆8,486億円になりますので、どれくらい米国企業が巨大か分かります。
私も過去にファイザー(PFE)、メドトロニック(MDT)を保有していた時期もありますが、現在はジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)と、ヘルスケアセクターETFを保有しています。
4. ヘルスケアセクター vs S&P500
ヘルスケアセクター vs S&P500です。
基本的には、ヘルスケアセクターETFを使って比較します。
最初に各銘柄に10,000ドル投資をして、配当再投資をして現在まで保有していた場合のトータルリターンを比較します。
バンガードVHTが設定された2004年から現在までです。
結果、トータルリターンが最も高かったのは、1位バンガードVHT(+388%)、2位ブラックロックIXJ(+374%)、3位S%P500(+239%)となりました。
基本的にヘルスケアセクターは他国籍のIXJよりも、米国籍だけのVHTの方がリターンがいいことが分かりました。
4-1. 強気相場で強い
また、上記のグラフを見て分かるのは強気相場で強いということです。
具体的に言うと、リーマンショック後の強気相場で一気に加速しています。
このようなことから分かるのは、ヘルスケアセクターは下落にも強くて値上がり益も見込める最強のセクターです。
5. ヘルスケアセクタートップ10 vs S&P500
米国ヘルスケアセクタートップ10 vs S&P500です。
1990年から最初に10,000ドルを投資して、現在まで保有していた場合のトータルリターンを比較します。
↓銘柄は以下になります。
Ticker | Name | Allocation | |
1 | JNJ | Johnson & Johnson | 10.00% |
2 | UNH | UnitedHealth Group Incorporated | 10.00% |
3 | PFE | Pfizer, Inc. | 10.00% |
4 | MRK | Merck & Company, Inc. | 10.00% |
5 | ABT | Abbott Laboratories | 10.00% |
6 | BMY | Bristol-Myers Squibb Company | 10.00% |
7 | AMGN | Amgen Inc. | 10.00% |
8 | TMO | Thermo Fisher Scientific Inc | 10.00% |
9 | LLY | Eli Lilly and Company | 10.00% |
10 | MDT | Medtronic plc | 10.00% |
結果、ヘルスケアセクタートップ10のポートフォリオ(青)のトータルリターンは、718,080ドル(+7080%)、S&P500は164,061(+1040%)となりました。
このようにして、ヘルスケアセクタートップ10は尋常ではないくらいリターンが高いです。
これはつまり、1990年に最初に投資するのが1,000万円だった場合は、現在7億円以上になっています。
5-1. 株価が安定
このようにして、ヘルスケアセクタートップ10の配当利回りはそこまで高くありません。
しかし、下落が少なく株価の値上がりが大きいので、その結果トータルリターンが高くなります。
もちろん、配当再投資と連続増配による複利効果もあります。
6. 騰落率
米国ヘルスケアセクターの騰落率です。
期間を長く測定するため、先ほどのヘルスケアセクタートップ10のポートフォリオで見ます。
結論からすると、ヘルスケアセクターの下落耐性はかなり強いです。
例えば、リーマンショックではS&P500が-50%下落したのに対し、ヘルスケアセクターは-35%程度でした。
また、今回のコロナでは実は-11%程度しか下がっていません。
ヘルスケアセクタートップ10の騰落率 | |||||||
1 | 2007年12月 | 2009年2月 | 1年3ヶ月 | 2011年4月 | 2年2ヶ月 | 3年5ヶ月 | -35.48% |
2 | 2001年1月 | 2002年9月 | 1年9ヶ月 | 2005年7月 | 2年10ヶ月 | 4年7ヶ月 | -27.43% |
3 | 1992年1月 | 1993年7月 | 1年7ヶ月 | 1994年8月 | 1年1ヶ月 | 2年8ヶ月 | -22.28% |
4 | 1998年7月 | 1998年8月 | 2ヶ月 | 1998年10月 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | -16.89% |
5 | 2020年1月 | 2020年3月 | 3ヶ月 | 2020年4月 | 1ヶ月 | 4ヶ月 | -11.81% |
6 | 2015年8月 | 2015年9月 | 2ヶ月 | 2016年5月 | 8ヶ月 | 10ヶ月 | -11.47% |
7 | 2016年8月 | 2016年10月 | 3ヶ月 | 2017年2月 | 4ヶ月 | 7ヶ月 | -10.22% |
8 | 1999年9月 | 1999年9月 | 1ヶ月 | 2000年1月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | -9.66% |
9 | 1996年6月 | 1996年7月 | 2ヶ月 | 1996年9月 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | -7.99% |
10 | 2011年6月 | 2011年9月 | 4ヶ月 | 2011年12月 | 3ヶ月 | 7ヶ月 | -7.91% |
暴落要因 | 開始 | 終わり | トップ10銘柄 | S&P500 |
アジア危機 | 1997年7月 | 1998年1月 | -6.13% | -5.61% |
ロシアの債務不履行 | 1998年7月 | 1998年10月 | -16.89% | -15.38% |
Dotcomクラッシュ | 2000年3月 | 2002年10月 | -27.43% | -44.82% |
サブプライム危機 | 2007年11月 | 2009年3月 | -35.48% | -50.97% |
このようにして、ヘルスケアセクターはリーマンショックであっても、-35%程度の下落暴落前水準まで2年2か月で回復して、3年5か月で高値更新をしました。
ちなみに、S&P500はリーマンショック時に-50%の下落で、その後高値更新まで4年10か月かかりました。
また、そのときの金融セクターは-74%の下落で、高値更新まで9年6か月かかっています。
6-1. 騰落率が低い理由
ヘルスケアセクターの騰落率が低い理由としては、やはりヘルスケアセクターは景気に左右されないセクターなので、企業の株価が安定するので買い支えられる特徴があります。
なぜかと言うと、大きな下落相場で株が暴落して投げ売りされたとしても、ヘルスケアセクターの競争優位性が無くなるわけではないということです。
例えば、リーマンショックであってもヘルスケアセクターは直接関係ありません。
なので、一時的に売られて大きく下げたとしても、すぐに買われるので下落耐性が強いと言えます。
ヘルスケアセクターをポートフォリオに組み込む例
ヘルスケアセクターをポートフォリオに組み込む例です。
例えば、上記は私のポートフォリオのセクター割合になりますが、ヘルスケアセクターの基本割合は20%になるようにしています。
ヘルスケアセクターで保有している銘柄は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)とヘルスケアセクターETF(VHT)の2つです。
もちろん、もっと増やしたい人はヘルスケアセクターを増やしてもいいと思います。
しかし、ヘルスケアセクター以外にも不況に強いディフェンシブなセクターもありますので、バランスをとります。
ヘルスケアセクター以外のディフェンシブセクター
ヘルスケアセクター以外のディフェンシブなセクターとしては、以下があります。
- 生活必需品
- 公益事業
ヘルスケアセクターだけに、不況に強い役割を与えるよりも、生活必需品や公益事業も組み合わせてポートフォリオを構築するといいです。
米国セクター 完全マップ