米国株・資本財セクターについて【完全版】

米国株・資本財セクターについて【完全版】 セクター

小野です。

米国株で資本財セクターについてです。

これから米国株を始めたり、すでに米国株投資をしている人の中にも、資本財セクターについてある程度知りたいって人もいると思います。

また、特徴やリターンも知りたいところですよね。

 

そこで本記事では、米国株の資本財セクターについて書きました。

資本財セクターについて悩む人は、参考にしてください。

米国株・資本財セクターについて

米国株・資本財セクターについて

では早速ですが、
米国株の資本財セクターについて、以下の内容で書いていきます。

 資本財セクター

  1. 特徴
  2. 概要・ETF
  3. トップ20銘柄
  4. 資本財セクター vs S&P500
  5. 資本財セクタートップ10 vs S&P500
  6. 騰落率

これらの情報を知っておくことで、資本財セクターの基本的な内容については把握できると思います。

結論からすると、資本財セクターは総合的に判断すると中程度です。

値上がりもそこそこ、下落耐性もまあまあといった感じです。

 

1. 特徴

まず最初に、
基本的な資本財セクターの特徴としては、以下になります。

 資本財セクターの特徴

  • 好景気に強いセクター
  • 下落耐性は中程度
  • 配当は並み
  • ある程度聞いたことある銘柄が多い
  • 事業内容がよく分からない
  • S&P500と同等のパフォーマンス

上記の特徴があります。

1-1. そもそも資本財セクターとは

そもそも資本財セクターとは何かについて、最初に書いておきます。

資本財セクターでは、主に航空、宇宙、防衛、鉄道、建設機械、重機、環境などを取り扱っています。

なので、そのほとんどが超大規模で専門的、事業的内容のため、一般消費者向けの商品はほとんどありません。

例えば、ボーイングでは飛行機を作っていたり、そのエンジンにはロールスロイスが使われていたり、工事現場のクレーンや重機、鉄道などです。

 

聞いたことのある会社かもしれませんが、実際それらの商品を使っていないのでイマイチよく分からないといったところです。

ただ、スリーエムなどのコングロマリット企業は、ポストイットの付箋や歯磨き粉、医療用品を作っていますので、馴染みのある場合も多いです。

 

2. 概要・ETF

資本財セクターは、米国株全11セクターのうちの1つです。

英語表記は以下になります。

  • Industrials

基本的にどこのサイトでも、ほぼ「Industrials」と書かれています。

2-1. 銘柄数

所属 銘柄数
米国資本財セクター 592
S&P500 73
ダウ30 4
資本財セクターETF(VIS) 355
資本財セクターETF(EXI) 200

現在、米国に上場している資本財セクター全銘柄数は592銘柄です。

そのうち、S&P500に含まれるのは73銘柄です。

ダウ30に選ばれている資本財セクターの銘柄は4銘柄で、以下になります。

  • BA|The Boeing Company
  • RTX|Raytheon Technologies Corporation
  • MMM|3M Company
  • CAT|Caterpillar Inc.

ボーイング、スリーエムは誰でも聞いたことあると思います。

キャタピラーは日本でもよく使われている、工事現場の重機です。

世界のマーケットの中心である米国ダウ30に選ばれている、これら4銘柄は世界を代表する資本財セクターの銘柄と言えるでしょう。

2-2. 資本財セクターETF

主な資本財セクターのETFとしては、以下があります。

  • バンガード:VIS
  • ブラックロック:EXI

基本的に資本財セクターETFを検討する場合は、このどちらかで検討すればオッケーです。

2つのETFの概要は以下になります。

バンガード ブラックロック
ETF VIS EXI
国籍 米国 グローバル
米国籍割合 100% 52.30%
銘柄数 355 200
経費率 0.10% 0.46%
設定日 2004年9月 2006年9月
直近利回り 1.92% 1.99%
直近10年リターン 10.80% 5.96%
直近5年リターン 5.65% 1.69%
PER 18.5倍 16.60倍
純資産総額 2.67B 173M

基本的に、バンガードの資本財セクターETFは米国籍のみで構成されていて、ブラックロックはグローバルになります。

また、ETF純資産もバンガードが2,670億円、ブラックロックは173億円となりますので、バンガードVISの方が圧倒的に規模が大きいです。
※1ドル100円

ちなみに、S&P500(VOO)のETF純資産は13兆2,380億円になります。

2-3. 資本財セクター内構成比率

資本財セクター内(VIS)でも、更にインダストリーは以下のように分かれています。

インダストリー VIS
航空宇宙・防衛 19.50%
産業機械 11.50%
コングロマリット 11.40%
Railroads 8.80%
電気部品・設備 6.00%
建設機械・大型トラック 5.70%
建設関連製品 5.60%
航空貨物・物流サービス 5.10%
調査・コンサルティングサービス 5.10%
環境関連・ファシリティサービス 4.50%
商社・流通業 3.40%
陸運 3.40%
農業機械 2.20%
旅客航空輸送業 2.10%
各種支援サービス 2.10%
建設・土木 1.60%
人事・雇用サービス 0.90%
事務サービス・用品 0.40%
商業印刷 0.20%
海運業 0.20%
空港サービス 0.10%
Heavy Electrical Equipment 0.10%
セキュリティ・警報装置サービス 0.10%
100%

基本的には、こんな感じで機械とか航空とか建設系のジャンルです。

2-4. 資本財セクターのPER

資本財セクターのPERは以下になります。

セクター 表記 バンガード ブラックロック
資本財 Industrials VIS PER 18.5 EXI PER 16.60

もちろん、時期によって変わりますが、そもそもETFは分散されていますのである程度一定です。

ちなみに、S&P500の直近30年の平均PERは20倍~25倍なので、比較するとすれば資本財セクターのPERは普通だと言えます。

ただ、S&P500には資本財セクターは8%程度しか含まれていませんので、比較してもジャンルが違うので目安程度で考えておくといいでしょう。

 

3. トップ20銘柄

資本財セクタートップ20銘柄は以下になります。
※米国籍のみ

Ticker Company Market C 利回り 増配
1 UNP Union Pacific Corporation 114.00B 2.33% 10
2 LMT Lockheed Martin Corporation 107.91B 2.51% 17
3 HON Honeywell International Inc. 103.88B 2.33% 9
4 BA The Boeing Company 100.12B 4.34% 8
5 RTX Raytheon Technologies Corporation 98.87B 2.91% 0
6 MMM 3M Company 90.37B 3.72% 61
7 UPS United Parcel Service, Inc. 90.34B 3.78% 10
8 CAT Caterpillar Inc. 69.51B 3.35% 10
9 ADP Automatic Data Processing, Inc. 63.45B 2.48% 45
10 GE General Electric Company 62.64B 0.55% 0
11 NOC Northrop Grumman Corporation 54.70B 1.83% 12
12 GPN Global Payments Inc. 54.63B 0.44% 2
13 ITW Illinois Tool Works Inc. 53.59B 2.59% 56
14 CSX CSX Corporation 52.87B 1.38% 10
15 DE Deere & Company 48.29B 1.96% 2
16 NSC Norfolk Southern Corporation 44.78B 2.20% 10
17 GD General Dynamics Corporation 44.55B 2.95% 22
18 WM Waste Management, Inc. 44.31B 2.10% 16
19 LHX L3Harris Technologies, Inc. 41.95B 1.76% 0
20 ROP Roper Technologies, Inc. 41.88B 0.53% 21
ave 2.30%

代表的な銘柄は上記になります。

配当利回り、増配もまあまあです。

3-1. 資本財セクタートップ

資本財セクター1位はユニオンパシフィック(UNP)で時価総額は11兆4,000億円、2位はロッキードマーチン(LNT)で10兆7,910億円です。

ちなみに、同セクター日本トップはリクルートホールディングス(6098)で時価総額は6兆4,800億円になりますので、米国がどれだけデカいか分かります。

 

4. 資本財セクター vs S&P500

資本財セクター vs S&P500です。

基本的には、セクターETFを使って比較します。

最初に各銘柄に10,000ドル投資をして、配当再投資をして現在まで保有していた場合のトータルリターンを比較します。

ブラックロックEXIが設定された2006年から現在までです。

資本財セクター vs S&P500

結果、トータルリターンが最も高かったのは、1位S&P500(+180%)、2位バンガードVIS(+146%)、3位ブラックロックEXI(+87.7%)でした。

4-1. 米国籍だけが強い

これを見て分かるのは、基本的に資本財セクターは米国籍だけの方が強いです。

なので、あえてリターンの弱い外国籍も含めた資本財セクターでなくてもいいことが分かります。

 

5. 資本財セクタートップ10 vs S&P500

資本財セクタートップ10 vs S&P500です。

1999年から最初に10,000ドルを投資して、現在まで保有していた場合のトータルリターンを比較します。

↓銘柄は以下になります。

Ticker Name Allocation
1 UNP Union Pacific Corporation 10.00%
2 LMT Lockheed Martin Corporation 10.00%
3 HON Honeywell International Inc. 10.00%
4 BA Boeing Company 10.00%
5 RTX Raytheon Technologies Corp 10.00%
6 MMM 3M Company 10.00%
7 UPS United Parcel Service, Inc. 10.00%
8 CAT Caterpillar, Inc. 10.00%
9 ADP Automatic Data Processing, Inc. 10.00%
10 GE General Electric Company 10.00%

資本財セクタートップ10 vs S&P500

結果、資本財セクタートップ10のポートフォリオ(青)のトータルリターンは、69,093ドル(+590%)、S&P500は30,114ドル(+201%)となりました。

このようにして、資本財セクタートップ10は大幅に市場平均を上回るリターンとなりました。

 

6. 騰落率

米国資本財セクターの騰落率です。

期間を長く測定するため、先ほどの資本財セクタートップ10のポートフォリオで見ます。

結論からすると、資本財セクターの下落耐性は全11セクターのうち、中の下くらいです。

とびっきり強いわけではありません。

例えば、リーマンショックではS&P500が-50.97%下落したのに対し、情報技術セクタートップ10は-51.30%と市場平均より下落しました。

1 2007年10月 2009年2月 1年5ヶ月 2010年12月 1年10ヶ月 3年3ヶ月 -51.30%
2 2019年12月 2020年3月 4ヶ月 -26.30%
3 2002年4月 2003年3月 1年 2003年10月 7ヶ月 1年7ヶ月 -21.72%
4 2001年6月 2001年9月 4ヶ月 2002年3月 6ヵ月 10ヶ月 -21.61%
5 2011年5月 2011年9月 5ヶ月 2012年2月 5ヶ月 10ヶ月 -21.13%
6 2018年10月 2018年12月 3ヶ月 2019年4月 4ヶ月 7ヶ月 -17.12%
7 2000年1月 2000年2月 2ヶ月 2000年8月 6ヵ月 8ヶ月 -16.99%
8 2015年3月 2015年9月 7ヶ月 2016年3月 6ヵ月 1年1ヶ月 -11.09%
9 2018年2月 2018年4月 3ヶ月 2018年9月 5ヶ月 8ヶ月 -9.42%
10 2019年5月 2019年5月 1ヶ月 2019年7月 2ヶ月 3ヶ月 -7.54%
暴落要因 開始 終わり 資本財トップ10 S&P500
Dotcomクラッシュ 2000年3月 2002年10月 -21.61% -44.82%
サブプライム危機 2007年11月 2009年3月 -51.27% -50.97%

米国資本財セクターの騰落率

このようにして、リーマンショック、ITバブル後では資本財セクターは大きく下落しました。

下落耐性の最も強い生活必需品セクターの下落が、リーマンショック時では-25%~-29%程度だったことから考えると、資本財セクターの下落耐性は中の下程度です。

 

ちなみに情報技術セクターのリーマンショック時の下落率は、-47.5%くらいでした。

S&P500はリーマンショック時に-50%の下落で、その後高値更新まで4年10か月かかりました。

また、そのときの金融セクターは-74%の下落で、高値更新まで9年6か月かかっています。

 

6-1. 資本財セクターは不況に弱い

資本財セクターは基本的に好景気に強いセクターです。

要は好景気だと物が売れますので、資本財セクターの商品も売れます。

しかし、逆に言えば資本財セクターは不況に弱いです。

そもそも不況時には、企業などが消費を抑えようとします。

 

また、銀行融資も厳しくなることから、専門的で大規模な資本財セクターでは融資を受けれなくなると、大きな金額を自己資金から出さなければいけないからです。

なので、景気の影響をもろに受けるセクターのため、値動きが荒い傾向があります。

個人的には、資本財セクターの個別を保有するよりは、セクターETFを選好します。

 

資本財セクターを保有する例

資本財セクターをポートフォリオに組み込む例

資本財セクターを保有する例です。

例えば、上記は私のポートフォリオのセクター割合になりますが、資本財セクターは基本的にVIG(連続増配ETF)を保有しているので、それに多く含まれています。

個別銘柄などは保有していません。

 

そもそも、あえて資本財セクターを保有するメリットが自分的には感じなかったです。

他のセクターの方がもっと安定してリターンもいいからです。

過去にはボーイング(BA)を保有していた時期もありますが、今後はあまり資本財は取り入れないかもしれません。

ちなみにビル・ゲイツ氏の米国株ポートフォリオのほとんどは資本財セクターになります。

 

資本財セクターの役割

資本財セクターの役割としては、ポートフォリオ全体を安定化させる目的で資本財セクターETFを保有するのは良いと思います。

個別については、ん~どうでしょう。

そもそも、事業内容が専門的で一般人には馴染みが無いので、あまりよく分からない銘柄の場合は保有しなくてもいいのではないかと思います。

だったらETFの方がいいですね。

よく分からない銘柄を長期で保有していると、途中で不安になって必ず売りたくなりますので。

 

 

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