米国株でディフェンシブなETF3本
米国株でディフェンシブなETF3本を紹介します。
ディフェンシブETF
- 生活必需品セクターETF
- ヘルスケアセクターETF
- 公益事業セクターETF
これらのETFは、ディフェンシブ系のセクターに分類されるETFです。
安定した値動きと配当が魅力のセクターです。私もこの3本のETFは当然保有しています。
ディフェンシブとは?
ディフェンシブとは、保守的、防御的、守備的などといった意味です。
ディフェンシブは英語だと「Defensive」です。これを米国株では以下のように捉えます。
- 不況に強い
- 下落耐性が強い
- 安定している
例えば、不況であっても国民は洗剤や食品、髭剃りなどの生活必需品を購入します。体調が悪ければ病院に行きます。生活には電力や水道も必要です。
つまり、ディフェンシブセクターは景気や経済状況に左右されることが少なく、安定した需要のあるセクターです。
景気に左右されにくいので、株価が安定し大幅に下落しにくいのが特徴です。
1. 生活必需品セクターETF
生活必需品セクターETFで代表的なのは、バンガード(VDC)とブラックロック(KXI)の二つです。
バンガード | ブラックロック | |
ETF | VDC | KXI |
国籍 | 米国 | グローバル |
米国籍割合 | 100% | 50.82% |
銘柄数 | 93 | 92 |
経費率 | 0.100% | 0.460% |
設定日 | 2004年1月 | 2006年9月 |
直近利回り | 3.02 | 2.32% |
直近10年リターン | 10.66% | 7.56% |
直近5年リターン | 6.11% | 3.29% |
PER | 24.2倍 | 23.01倍 |
純資産総額 | 5.18B | 663M |
バンガードとブラックロックで、生活必需品セクターの主な違いは以下の通りです。
- バンガードは米国籍の企業のみ、ブラックロックは海外の企業が約50%
- ファンドの純資産はVDCが約5,180億円、KXIは663億円
※1ドル100円計算
ETFの資産としては、圧倒的にバンガードVDCの方が多いので、それだけVDCに投資している人の方が多いことが分かります。
1-1. 生活必需品セクターETF vs S&P500
生活必需品セクターETF vs S&P500です。
各ETFに10,000ドル(約100万円)を投資して、配当再投資をしながら保有していた場合のトータルリターンを比較します。
期間はブラックロックのKXIが設定された2006年から2020年までです。
結果、トータルリターンが最も高かったのは、1位バンガードVDC(+217%)、2位S&P500(+167%)、3位ブラックロックKXI(+154%)となりました。
多国籍を多く含むKXIより、米国籍だけで構成されたVDCの方が高リターンでした。
これから生活必需品セクターETFを保有する場合は、VDCで問題ないことが分かります。
1-2. 生活必需品セクターETFの下落耐性
生活必需品セクターETFの下落率です。同期間で最も大きい暴落であった、リーマンショック時で確認します。
結果、最も下落率が低かったのはバンガードVDC(-29.37%)、2位ブラックロックKXI(-35.29%)、3位S&P500(-50.97%)となりました。
リーマンショック級の大暴落であっても、-30%まで下がらなかったバンガードVDCは究極にディフェンシブだと言えます。
ちなみに別記事でも書いていますが、米国株全11セクターの中で最も下落耐性が強いのは生活必需品セクターです。
2. ヘルスケアセクターETF
ヘルスケアセクターETFで代表的なのは、バンガード(VHT)、ブラックロック(IXJ)です。
バンガード | ブラックロック | |
ETF | VHT | IXJ |
国籍 | 米国 | グローバル |
米国籍割合 | 100% | 67.3% |
銘柄数 | 384 | 105 |
経費率 | 0.100% | 0.460% |
設定日 | 2004年1月 | 2001年11月 |
直近配当利回り | 2.07 | 1.39% |
直近10年リターン | 16.10% | 10.94% |
直近5年リターン | 8.73% | 4.49% |
PER | 23.5倍 | 25.21倍 |
純資産総額 | 10.31B | 2.30B |
バンガードとブラックロックで、ヘルスケアセクターの主な違いは以下の通りです。
- バンガードは米国籍の企業のみ、ブラックロックは海外の企業が約32.7%
- ファンドの純資産はVHTが約1兆310億円、IXJは2,300億円
- 保有銘柄数に大きな差
※1ドル100円計算
2-1. ヘルスセクターETF vs S&P500
ヘルスケアセクターETF vs S&P500です。
各ETFに10,000ドル(約100万円)を投資して、配当再投資をしながら保有していた場合のトータルリターンを比較します。
バンガードVHTが設定された2004年から現在までです。
結果、トータルリターンが最も高かったのは、1位バンガードVHT(+388%)、2位ブラックロックIXJ(+374%)、3位S%P500(+239%)となりました。
生活必需品と同じく、米国籍だけで構成されたヘルスケアセクターVHTの方が高リターンでした。
これからヘルスケアセクターETFを保有する場合は、迷わずVHTでしょう。
2-2. ヘルスケアセクターETFの下落耐性
ヘルスケアセクターETFの下落率です。同期間で最も大きい暴落であった、リーマンショック時で確認します。
結果、最も下落耐性が強かったのは、1位バンガードVHT(-35.10%)、2位ブラックロックIXJ(-37.88%)、3位S&P500(-50.97%)となりました。
バンガードVHTが最も下落耐性においてはディフェンシブです。
3. 公益事業セクターETF
公益事業セクターETFで代表的なのは、バンガード(VPU)、ブラックロック(JXI)の二つです。
バンガード | ブラックロック | |
ETF | VPU | JXI |
国籍 | 米国 | グローバル |
米国籍割合 | 100% | 60.16% |
銘柄数 | 66 | 66 |
経費率 | 0.100% | 0.460% |
設定日 | 2004年1月 | 2006年9月 |
直近配当利回り | 3.65 | 3.56% |
直近10年リターン | 11.74% | 5.08% |
直近5年リターン | 9.75% | 5.55% |
PER | 19.6倍 | 17.48倍 |
純資産総額 | 3.83B | 240M |
バンガードとブラックロックで、公益事業セクターの主な違いは以下の通りです。
- ・バンガードは米国籍の企業のみ、ブラックロックは海外の企業が約39.84%
- ・ファンドの純資産はVPUが約3,830億円、JXIは240億円
- ・保有銘柄数に大きな差
※1ドル100円計算
ETF純資産額に圧倒的差があることから、ブラックロックJXIは不人気かもしれません。
3-1. 公益セクターETF vs S&P500
公益事業セクターETF vs S&P500です。
各ETFに10,000ドル(約100万円)を投資して、配当再投資をしながら保有していた場合のトータルリターンを比較します。
ブラックロックJXIが設定された2006年から現在までです。
結果、トータルリターンが最も高かったのは、1位S&P500(+180%)、2位バンガードVPU(+169%)、3位ブラックロックJXI(+55.7%)となりました。
公益事業セクターETFに投資をするのであれば、バンガードVPU一択です。
3-2. 公益事業セクターETFの下落耐性
公益事業セクターETFの下落率です。同期間で最も大きい暴落であった、リーマンショック時で比較します。
結果、最も下落耐性が強かったのは、1位バンガードVPU(-38.13%)、2位ブラックロックJXI(-43.84%)、3位S&P500(-50.97%)でした。
バンガードVPUが最も下落耐性においてはディフェンシブです。
結論
ディフェンシブ系のETFは下落耐性が強く、株価も安定しています。また、トータルリターンも悪くないです。
つまり、ディフェンシブ系のETFを保有することで、自分の米国株ポートフォリオを安定化させることができます。
今回はETFが設定された期間で検証していますが、ディフェンシブセクターに所属する個別銘柄で、期間を長くしてテストするとETF以上にトータルリターンは高いです。
例えば、1990年にヘルスケアセクタートップ5の個別銘柄でポートフォリオを構成し、1,000万円を投資して配当再投資をしながら2020年まで保有していた場合は、約6億円以上になっています。
ディフェンシブ系の銘柄やETFを長期で保有することによって、下落をヘッジしつつ大きなリターンも狙えます。大事なのは、大きく下げないことです。
ディフェンシブETFを使ったポートフォリオの例
ディフェンシブETFを使って、ポートフォリオを組む例です。
例えば上記は私の米国株ポートフォリオですが、ディフェンシブETFとして、生活必需品(VDC)、ヘルスケア(VHT)、公益事業(VPU)を組み込んでいます。
また、ディフェンシブセクター内の個別銘柄として、コカ・コーラ(KO)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)を保有しています。
こうすることで、私の場合はポートフォリオのセクター割合のうち、約60%はディフェンシブになるようにしています。
また、他にもブレンド系のETF(VIG、VYM)をクッションとして入れておくことで、下落耐性と安定性を向上させています。
長期投資は鉄壁のポートフォリオで運用
やはり米国株で長期投資をするには、絶対に信頼のできるディフェンシブ銘柄やETFを使って、下落耐性の強いポートフォリオを保有することがおすすめです。
つまり、大幅に下落しなければ上に上がるだけなので、結果的にリターンはよくなります。
厳選した10~15銘柄程度のポートフォリオを構築して、最大限にリターンを求めつつディフェンス確実にします。
バランス
ちなみに私のポートフォリオの場合、一見すると守りで固めているように見えますが、以下の要素も考慮して盛り込んでいます。
- 11銘柄とETFを使っているのでチャートは安定
- 連続増配はKO、JNJ、PG、MCD
- 下落耐性はETFと銘柄数でカバー
- 値上がり益は、VGT、VHT、JNJが牽引
鉄壁のポートフォリオを保有して、資産を拡大させていきます。
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